赴任先と赴任目的について教えてください。

体内で発生している変形や振動などの物理現象を外部から可視化する技術の研究が目的です。現在、人が動いている状態で、外部から体内を可視化する技術は世の中にありません。この技術が完成すれば、運動中の負担や快・不快の感情を推定し制御することができるようになると考えています。赴任に際しては、アメリカの大学への派遣がはじまったタイミングで、運よくチャンスを得られました。もともと海外で研究してみたいと望んでいたこともあり、研究テーマと赴任先の希望を認めていただきました。

日本にいた頃と研究スタイルは変わりましたか。

ここボストンにはたくさんの大学があるため、地域の研究者と顔を合わせる機会も多く、横の連携が非常に強く保たれているという特長があります。極めてオープンな環境で、多分野の研究者と情報交換や意見交換をしながら研究活動を進めています。また何事にも肯定的で、異分野の研究者同士で協力し合いながら、さまざまなアイデアを積極的に試してみるという風土があります。研究活動では、自分の中で深掘りしていくことがまず重要だと考えていますが、こちらに赴任してからは、近くの専門家を気軽に頼り、新しいことを試している時間が増えました。

海外赴任に関するアドバイスがあればお願いします。

赴任当初のパフォーマンスは、どうしても日本にいた時の3割程度に落ちます。しかし、順応するにつれて、どんどんラクになり、楽しくなりますので心配はいりません。自分でハードルを上げてしまい過ぎず、まずは気軽に飛び込めばよいと思います。気をつけたいのは、日本のように「言わなくてもわかる」ことは、ほぼないということです。日本と違い、多種多様な人びとが混在している環境なので、気のつかい方や言葉のかけ方も相手に合わせて工夫する必要があります。一人ひとりの個性や違いに意識的に気を配るようになりました。