赴任先と目的について教えてください。 

入社前から、海外の研究機関に一定期間滞在し、日本とは異なる環境で研究をしたいと考えていました。当社の短期グローバル研修制度を利用し、赴任先と研究内容のめどがついたため、海外留学制度に応募。採用されて希望が叶いました。所属は、ドイツ・ダルムシュタット工科大学のレーザー計測を専門とする、Reaktive Strömungen und Messtechnik(反応流体計測)研究室です。目的は、壁面境界層現象の計測技術の構築。エンジンの熱効率向上、排気クリーン化に不可欠な火炎と壁面との相互作用についての計測に取り組んでいます。

赴任先の研究環境についてご紹介ください。

子供の頃から自主性が重んじられるドイツでは、学生であってもあまり教授や先輩を頼ることなく、各自が決断して研究を進めています。こうした姿勢が短時間で成果を出せることにつながっていると感じます。毎日遅くまで大学に残ることもなく、自分の時間や家族との時間を大切にしています。また、EU内にあることで、多様な言語・文化を持つ人を受け入れることに慣れており、研究者が国をまたいで活動する環境が整っています。同僚はドイツだけでなくイタリア・フランス・フィンランド・チュニジア・中国など様々な国から来ており、研究だけではない自分の視野を広げることができます。

日本との違いや国が異なることによる課題はありますか。

ドイツでは、日本のような“阿吽の呼吸”は通用しません。議論では、曖昧な部分は全て明らかにすることが好まれます。自分も、意見が相手に伝わったか、自分が理解できたかを確認し、納得のいくまで討議するように努めています。また、同僚たちは英語が堪能なのでコミュニケーションに不都合はありませんが、ゲストとしてではなく、同僚として受け入れられるには、現地語でコミュニケーションする姿勢が欠かせません。研究上必要なレベルの会話ができるように、ドイツ語の習得をめざしています。