独自のノウハウや情報の
流出を防ぐために
契約締結をサポート。

当研究所では、大学など外部機関と共同して研究を進めることがあります。共同研究は、新技術の開発や、新事業の創出を図ることを目的とした産学連携の枠組みの一つであり、当研究所にとっても、効率的に研究目標を達成できたり、技術をより発展させたりできるため、積極的に活用し、大学の知見を学ばせていただいています。一方で、弊社が保有する技術やノウハウ、情報が流出する危険もあり、後々のトラブルとならないように、契約書の中で、明確な条件を取り決め、目的に合った契約締結ができるように研究部門をサポートすることが現在の私の仕事です。

契約を進める中で、当研究所はある意味、企業としてユニークな存在であるため、豊田中央研究所ならではの位置づけを理解いただくことに重きを置いています。多くのメーカーとは異なり、当研究所は研究成果を自ら使用することがありません。発生した知的財産をトヨタグループ企業各社に活用いただくことが大前提であることを理解してもらう必要があるのです。
その他にも綿密なすり合わせを経て交渉を進め、双方の理解をはかる努力は欠かせません。

研究者への聞き取りや、
外部機関との折衝を通じて
共通認識をはかる。

進め方において気をつけているのは、相手の要望や共同研究の目的を最初にきちんと把握することです。共同研究には、お互いの強みを持ち寄ることで、より大きな成果をめざす場合もあれば、装置をお借りし、先生方に評価方法の指導をいただきながら研究を行うという案件も対象になるため、それぞれの目的に合わせて契約内容を考えていくことになります。目的が確認できれば、それを念頭においた上で、契約書に落とし込んでいきます。より大きな成果をめざす共同研究であれば、将来、知的財産が発生した場合にどうするのかをあらかじめ決めておくことが特に重要なポイントです。さらに、社外に公表するタイミングや、何を、いつまで秘密にしておくかなどについて、研究者に確認したり、外部機関の要望を確かめたりして、交渉を進めていきます。
また、契約締結後も、研究活動の中でトラブルが生じないよう、口頭でおこなった秘密情報のやりとりは文書にして確認する、打ち合わせ等は議事録をとるなど、誤解がないように記録するよう研究部門にお願いしています。
契約文書の作成自体は、これまでのノウハウや決まったフォーマットがあるので、さほど難しいことではありませんが、1件1件丁寧に処理することが求められます。

一人ひとりの努力に心を留めて
誠実に対応していきたい。

以前は人事室に所属し、採用業務に5年、人事制度企画業務に5年、取り組んできました。当研究所がユニークな特性を持った企業であることをはじめて認識したのは、人事室で取り組んだ業務を通じてのことです。新しい制度を検討する際、世の中の先行している取組みを調べましたが、他社の事例をどう参考にし、研究所に合うアイデアとして、どう取り入れるかをメンバーでよく議論しました。苦労はありましたが、当研究所で働く一人一人の意欲を高め、よりすごい研究を生み出していくという使命のもと、やりがいを感じていました。
人事室でも契約渉外室でも、人と接する際は、相手の貴重な時間をお借りしていることを意識してきました。事前にできる限り下調べをしておくなど、常に準備を怠らないようにしています。特に、個人のニーズを叶えることと、企業としてのスタンスのバランスをとることには心をくだいています。たとえ、本人の要望に100%応えられなくても、会社のルールだからと切り捨てることなく、理由や事情をしっかりと説明して納得してもらうことが大切です。
これまでの仕事を通じて、当研究所内ではさまざまな人がそれぞれのスタンスで頑張っていることに気づくことができました。普段、見えないフィールドで努力を重ねる社員一人ひとりに心を留めて、業務を進めたいと思います。

1日のスケジュール

交通渋滞を避けて7時には出社するが、8時半の業務開始までは自己研鑽の時間。業務における専門性を培うために、税理士の資格取得をめざして学ぶ。人事室時代には、社会保険労務士の資格を取得した。業務終了後は、労働組合の執行委員として活動に従事。従業員の要望をヒアリングしたり、会議に出席したり、イベントをおこなったりと忙しい。

※記事の内容は取材当時のものです。

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