カーボンニュートラル燃料で
エンジンの革新を。

エンジン内部で起こっている“燃焼”という現象に興味を持ち、大学ではエンジンの着火タイミングの制御に関する研究に取り組みました。着火タイミングの制御が難しいHCCI(予混合圧縮着火)エンジンの燃料にメタノールやオゾンを加えて着火時期を変える方法や、燃焼素反応の解析を行っていました。
豊田中央研究所に入ってからは糖類から合成可能なバイオ燃料の研究や異常燃焼の解析、アンモニアを燃料としたガスタービンの実用化に向けた研究などを経て、現在は燃料の熱エネルギーをピストン運動に変えるレシプロエンジンで、アンモニアやe-fuelといったカーボンニュートラル燃料を活用する研究を行っています。
クルマの電動化が注目される昨今、脱炭素化に向けた道筋の中で内燃機関をどのように位置づけて活用していけばよいかは様々な観点から考えていく必要があります。しかし、カーボンニュートラル燃料を用いたエンジンは今後発展していけるものだと私は信じています。そして、そのような研究に携われることに大きなやりがいを感じています。
豊田中央研究所では、基礎的な研究から実用化に至る応用研究まで、多様な分野で多岐に渡る研究を進めています。さまざまな刺激を受けることで新たなアイディアが思いつきやすい環境だと思います。

過去に取り組んできた
多彩な経験が、今の研究に
活かされるよろこび。

燃焼の研究から一歩進んだ“実用化”に関われることに魅力を感じて豊田中央研究所に入ったのですが、実際に実用化に至るまでの道のりは険しく、さまざまな課題やトラブルをひとつひとつ解決していく必要があることを仕事を通じて痛感しました。
入社してすぐ携わったバイオ燃料の研究からは、スムーズに燃焼させることはもちろん、燃料としての安定した保管性や繊細なエンジン部品に影響を与えないなどの広い視野と幅広い専門知識が必要であることを、そして異常燃焼の解析では、ひとつの現象を突き詰め積み上げていく大切さを学びました。
そして何よりトヨタ自動車や産業技術総合研究所の研究者、技術者とともに手がけたアンモニアを燃料とするガスタービンの共同研究では、文化の違う他機関と議論を重ね、それぞれが目指しているゴールイメージの意識を合わせていくことの重要性や、研究をどのように世の中に広げていくかの視点などを学ぶことができました。
実用的なシステムでカーボンニュートラル燃料を活用するには、幅広い専門知識に加え、様々な研究者や技術者と協業していくことが欠かせません。大学時代から取り組んできた研究や、これまでに取り組んできたプロジェクトの経験が、今の仕事に活かされています。

若手の意見も尊重され、
活躍しやすい雰囲気があるのが
豊田中央研究所の魅力。

私が取り組んでいるエネルギー循環に関する研究は、その基盤となるさまざまな専門知識に加えて、異なる要素技術をシステムとして大きくとらえることも大切です。それには特定の技術や研究分野に閉じることなく、自らを変えていける柔軟性が必要です。そのため、既成概念にとらわれないユニークな視点をもっている方が求められていますし、実際に私の周りでもそのような研究者が増えています。また、自らの研究で世の中を良くしていきたいと考える社会貢献マインドを持った研究者も増えてきているように感じます。
豊田中央研究所には800名もの多様な分野の専門家がいるため、貴重なアドバイスをもらいやすいという魅力があります。新たな知見が必要になった時には気軽に相談し、時には一緒に新たなテーマへの取り組みに発展することもあります。また、若手であっても得意な研究領域のスペシャリストとして尊重されるため、意見も言いやすく活躍しやすい雰囲気があると思います。
昨今はSDGsやメタバースなどの新しい概念が注目され、まさに時代の変革期にさしかかっています。そのような状況で「新しいモノ・新しい世界を築きたい!」というやる気にあふれた方々と一緒に、未来につながる研究をしていきたいですね。

ある日のスケジュール

個別の技術を構築できても、その燃料の社会インフラや普及シナリオまでを考えなくては本質的な解決につながらないという思いが強くなってきている。研究をもう少し広い視点でとらえ、チームメンバーに方向性を示すことを目指している。

※記事の内容は取材当時のものです。

pagetop