仕様の先にある研究者の
想いを汲み取って、
『一点もの』の試作に携わる。

入社から3年間は試作開発研究領域において所内で使用する実験装置・試験機器の試作に携わり、その後4年間は豊田中央研究所が考案した人工光合成セルの大型化をめざす研究プロジェクトに取り組みました。そこから約1年の産休・育休を経て、現在も引き続き所内試作の業務を担っています。
私が手がけているのは、研究所内で必要となるさまざまな実験装置や試験機器の試作です。その中でも技術課題が高い装置の設計や電気系統の設計を行うチームに所属し、一点ものの試作に挑んでいます。
たとえば熱に強い実験装置は世の中にあっても、さらに薬品にも強いなど、求められる要件が複数になると製作難易度が一気に上がります。なかには実現不可能だと思われる要望もあるのですが、難しいからこそやりがいを感じています。自分でアイデアを出し、設計から組み付けまでを一貫して行えるのもモノづくりに携わるエンジニアの醍醐味です。
私が日々心がけているのが、仕様の向こうにある研究者の想いを聞き取ること。仕様書には書かれていない研究の背景まで知ることで、作業性や安全性を担保したモノづくりにつなげます。試作の依頼ごとに全く異なる分野の知識が必要となるため、そのつど材料特性や未修得の設計知識を学ぶことを通じて自身の成長が感じられます。

学生時代に学んだ
エンジニアの基礎知識が
仕事に活かせる幸せ。

物心がついた頃から工作が大好きで、小・中学の頃には工作クラブに通って木や電気の工作に励んでいました。エンジニアとして活躍する父への憧れもあって高等専門学校に進み、材料力学や機械力学、制御工学などを学ぶとともに「ロボコン」にもチャレンジしました。
それまでは自分で設計して加工や組み立てもひとりで行なってきたのですが、ロボコンを通じてみんなの力で1つのモノづくりを進め、大会に持っていける状態にまで高めていく楽しさを知ることができました。弓道部にも所属して多くの大会に出場して成績を収め、3年次にはハンガリーに1年間留学して異文化交流も経験しました。
高等専門学校では、エンジニアリングに関する広い知識を学びました。今でも設計した装置の強度計算や熱・流体の計算を机上で行ってシミュレーション結果と比較するなど、高等専門学校で学んできた基礎が存分に活かせています。
使わない知識は忘れていきますが、一度学んだことは思い出して理解できるまでが早いです。学びが活かせる職に就けていることに幸せを感じます。

自分たちが作るモノが
社会課題の解決や
社会貢献につながっている。

これまでのキャリアでとても印象に残っているのが人工光合成セルの大型化をめざす研究プロジェクトへの参加でした。
プロジェクトでは機械・電気・化学・分析など、異なる分野を専門とする研究者が集まるチームの一員として、大型人工光合成セルの筐体試作を担当しました。
このプロジェクトでは世界最大級の1メートル角人工光合成セルで世界最高の太陽光変換効率を達成し、ニュースにも取り上げられるなど世の中にインパクトを与えることができました。研究プロジェクトを経験することで研究者が考えていることを深く知ることができましたし、自分たちが作るモノが社会課題を解決し、社会貢献につながっていることが実感できました。
私は、豊田中央研究所で携わってきた、研究者の構想を具現化するモノづくりの仕事が“天職”だと感じています。今後は多分野の実験装置の設計を経験し、機械だけでなく電気や理化学などの幅広い分野の知識を得て高品質で安全なモノづくりができるようになりたいです。研究者の良きパートナーとなれるようなプロの設計者を目指します。

ある日のスケジュール

時短勤務をはじめとする育児サポート制度を活用し、子育てと仕事の両立にチャレンジ中。豊田中央研究所では、男性の育休取得率も高く、また、フレックスタイム勤務や在宅勤務制度を活用し、自分のライフスタイルに合わせて仕事ができる環境が整っている。

※記事の内容は取材当時のものです。

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